【第68号】二宮和弘−「金に最も遠い階級」で快挙
(76年モントリオール・柔道・軽重量級=93キロ以下)
★5カ月間、減量とも戦った
日本が金に最も遠いクラスと言われた階級で、29歳のベテラン、二宮が快挙を演じた。
決勝の相手はハルシラーゼ(ソ連)。消極的な相手に対して大外刈り、小外刈りで攻勢。文句のない判定勝ちで金を勝ち取った。
1メートル90の長身を生かし、73年の世界選手権(ローザンヌ)では無差別級で、全日本選手権者の上村春樹を破り金メダル。だが、重量級に、上村、遠藤純男と人材が輩出したことで、強化本部の強い要請もあり階級を下げた。2月の転向以来、5カ月間、通常100キロの体重を7キロ減らす減量に挑戦。朝食はパン一切れとトマトジュース。昼食はなく、夕食はビール1本と肉と野菜を少々。フラフラになりながらの戦いだった。
テレ屋で、のんびりとした性格。そんな二宮を変えたのは、天理大の1年先輩、笹原の「おれのかたきを」というひとこと。笹原はミュンヘン五輪で金絶対といわれながら敗れている。直前の重量級で遠藤が銅に終わり、さらに「オレが」の気持ちが高まった。
会見前、ドーピング検査のため、大好きなビールを6杯も飲んだ二宮の顔は幸せで光り輝いていた。
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